世間は口を揃えて言います。「いちばん伸びる、派手な第3波——押しが終わってからの再上昇——を狙え」と。私は逆です。あの派手な波が走り出してから飛び乗ることは、もう一度もしません。
——昔は、追っていました。ぐんぐん伸びていく1本を見ては「これだ、これに乗りたかったんだ」と、慌てて成行で飛び乗る。
次の瞬間、価格はぴたりと止まり私を乗せたまま逆へ戻り始める。いちばん伸びたところで、いちばん遅れて、いちばん高いところを掴む。これを本当に数えきれないほど、やりました。
ある日、ようやく腑に落ちました。私が惚れていた「派手に走る第3波」は、ただの結果でしかない。
本当に見るべきだったのは、その手前の誰も注目しない地味な一瞬——価格が一度だけ戻してひと息ついたあの「押し戻し」のほうでした。今日は世間が飛ばして読むその一枚手前の話を書きます。

走る波は、結果でしかない
価格は一直線には走りません。動き出して一度ペースを落として平均線(移動平均線、MA=直近の値段をならして引いた線)のほうへ戻し、ひと息ついてまた走る。この「動き出し→一度の押し戻し→本格的に走る」の3拍子で、トレンドは進みます。
動き出しを一つ目、押し戻しを二つ目、本格的に走るのを三つ目と数えればいちばん伸びるのはいつも三つ目です。
多くの人——昔の私も含めて——は、3拍目の「本格的に走る」だけを見ています。そこがいちばん派手だからです。
でも、3拍目はもう走り終わりかけの結果です。そこで飛び乗れば入る値段は高く、損切りまでの幅は広くなります。負けた時の傷だけが深くなる。
仕込む場所は、2拍目の「一度の押し戻し」にしかありません。ここが耐えてくれればそのあと3拍目が走り、耐えなければその流れは終わります。
つまり押し戻しは、これから走るか・走らないかを走り出す前に教えてくれる唯一の場所なんです。見るべきだったのは、走る波の一つ前にある一度の押し戻しでした。私はそこを飛ばして、走った後だけを見ていました。

「耐えた」かどうかは、2つしか見ない
こう書くと「押し戻しの途中では、まだ走るかどうか分からないのでは」と思うかもしれません。そのとおりです。なので私は、走るかどうかを当てにいきません。押し戻しが「耐えた」かどうかだけを確かめます。
その押し戻しが「耐えた(=まだ走る資格が残っている)」のか、「崩れた(=終わった)」のか。私はたった2つしか見ません。
ひとつ目は、前回つけた安値を切り上げているか(売りなら、前回高値を切り下げているか)。
これは、昔からある見方です。今回の谷を前の谷と比べる。切り上がっていれば上向き、切り下がっていれば下向きと読む。それだけです。買いの流れなら、押し戻しの谷がひとつ前の谷より高い位置で止まってほしい。
前の谷より浅い位置で買われたということは、下がりきる前に拾われたということ。下がりきる前に拾われたということは、買い手の本気度が一段上がっている、と私は読みます。
逆にひとつ前の安値を割り込んでしまったら、買い手が待ちきれずに引いた合図——流れの足腰が崩れたサインです。
ふたつ目は、平均線です。動き出しを見た足の20本分の平均線を、押し戻しを見ている一段小さな足に置き直します。その線の近くで、押しが止まっているかを見ます。
線をどれだけ割ったかを感覚で語ると、人によってブレます。だから私は、線をどれだけ深く割ったかでは決めません。ローソクが一時的に平均線の向こうへはみ出しても、それだけで崩れたとは見ません。
合否を決めるのは、ひとつ目の前回安値です。平均線は、その止まり方が固いかどうかを添えて見るだけです。これなら、誰が見ても同じ判定になります。

2つの支えが重なるほど、固い
この2つは、別の角度から同じ場所を支えています。平均線は流れの勢い、前回安値は参加者が引いた線。動いている支えと、固定された支え。2つが重なった押し戻しほど、固い。
順番だけ間違えないでください。先に前回安値の切り上げを見て、平均線は後から添える。線ばかり見ていると、足元の安値が割れた合図を見落とします。

- トレンドは「動き出し→一度の押し戻し→本格的に走る」の3拍子で進む
- 派手な3拍目は結果。仕込む場所は2拍目の押し戻しにしかない
- 耐えたかどうかは2つだけ。押しが一度入り、前回安値を割らずに止まったか/その近くに平均線があるか(固さの目安)
- 順番は固定。先に前回安値の切り上げ、平均線は後から添える

手前を見る人は、いつも先回りできる
派手な波を追う人は、いつも後手です。走ってから気づき、走ってから乗り、走り終わってから掴む。
手前の押し戻しを見る人は、いつも先回りです。走る前に耐えたかどうかを確かめ、走る前に注文を置き、走り出した瞬間にはもう乗っている。
同じチャートを見ていても、見ている「場所」が一拍ずれているだけで勝ち方がまるで変わる。私が遅れていたのは、腕のせいでも、反応速度のせいでもありませんでした。ただ、見ている場所が一拍後ろにずれていただけでした。
それに気づいてから、私は派手な波を追うのをやめました。走り出した波には、もう手を出しません。
私が狙うのは、その一拍手前——押しが一度入って前の谷を割らずに止まったあの静かな一服だけ。
先回りできるのは、押し戻しが二つの場所を同時に作ってくれるからです。
ひとつは、乗る場所です。押しのあと、いちばん近くにできた小さな山を抜ける所に注文を置けます。
もうひとつは、損切りを置く場所です。押しの底の少し下に置けば、崩れた時だけ外に出られます。
逆に、押し戻しをまったく作らずに一気に走る流れもあります。強そうに見えますが、私には乗る場所がありません。損切りをどこに置くかも決まらないからです。その流れは、見送ります。
見送った波は、そこで終わりにします。大きな足の流れが生きていれば、また次の動き出しが来ます。その時に、一つ目から数え直します。
ここで私が分けているのは、待ち直すことと飛び乗ることです。待ち直すとは、基準を下げずに次の動き出しを待つことです。飛び乗るとは、逃した悔しさでもう走り出した波に入ることです。冒頭に書いた昔の私が、数えきれないほどやったほうです。
私がするのは、待ち直すほうだけです。
乗りたい気持ちは、今も残っています。それでも見送れるようになってから、負けは減りました。
次に読む
——確定から取る時の引き金が、どこに生まれるかの話です。
——そもそも、なぜ第3波だけなのか。残り4つを捨てた理由を1つずつ書きました。
この押し戻しの2条件を、実際にどの足のどの平均線で確かめるのか。私が毎日見ている画面と同じ設定で、手順の最初から最後まで無料の一冊『たった一つの形』で追えるようにしてあります。


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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。



