線が効くのではない。そこに人の注文が溜まっているから、効く。

古い傷の話から、始めます。

水平線を「効くおまじない」だと思っていた頃、
私はその線で何度も狩られました。

前回の高値に線を引く。「ここで反発するはず」と信じて、逆張りする。
あっさり抜かれて、損切り。
今度は前回安値で支えられるはずだと、買う。
ずるずる割れて、また損切り。

線は引けるのに、その線が「なぜそこにあるのか」を
私はまるで分かっていませんでした。

模様として線を引いて、模様に賭けて、模様に負けていた。

ある時、線の見方が根っこから変わりました。

前回の高値・安値は、偶然そこにある模様ではない。
そこには大勢の参加者の感情と未決済の注文が、層になって溜まっている。

線を模様ではなく「人の地図」として読み始めた日から、
私の狩られ方が変わりました。

目次

線が効くんじゃない。人の注文が、効いている

注文の側に立ってみれば、当たり前のことでした。もっとも、私に他人の注文が見えるわけではありません。ここから書くのは、値動きの跡から私がそう読んでいる地図です。

前回、価格がそこで天井をつけて落ちた。

ということは——その天井の手前で買って、逃げ遅れた人が大勢いる。

彼らは含み損を抱えたまま、待っています。
「もう一度そこまで戻ってきたら、今度こそ逃げよう」と。

価格がその高値に近づくと、その「やれやれ売り」がどっと出る。
だから、止まる。

同時にその高値を「強い壁」だと見ている新規の売り手も、
そこに売り注文を置いて待っています。

逃げたい人の決済と、新規の売り。
二種類の注文が同じ価格帯に積み重なっているから、価格はそこで重くなる。

これが、水平線で言うレジスタンス(前回高値の抵抗帯)/サポート(前回安値の支持帯)の正体です。

線が効くのではない。そこに人の注文が溜まっているから、効く。

順番が、まるで逆だったんです。

同じ一本の線が、止めもすれば加速もさせる

では、その重い壁を価格が抜けてしまったらどうなるか。

ここが、面白いところです。

壁の手前で「戻ってきたら売ろう」と並んでいた売り注文が、突撃してきた買いに全部呑まれます。
売るはずだった人は、もう売り終えている。
壁の上には、売り物が残っていない。

さらに「この壁は固い」と思って反対に賭けていた新規の売り手は、
壁が破られた瞬間に損切りを迫られ、買い戻す。

売り物の尽きた空白と逆張り組の損切りの買い戻しが、同じ上方向に重なって価格が一気に走る。

前回高値・安値を抜けた瞬間に価格が加速するのは、線の魔法ではありません。
止める注文が尽きた道を、追い詰められた人々が一斉に駆け上がるからです。

私はかつてこの「重い壁」で何度も逆張りをして、
抜けた瞬間の加速にまとめて轢かれていました。

壁が止める力ばかり見て、壁が破れた時に噴き出す力を計算に入れていなかった。

同じ一本の線が、近づく時は止めて抜けた時は加速させる。
線そのものは、何も変わっていません。

変わったのは、そこに溜まっていた注文が止める側から逃げる側へ回ったことだけです。

※ この「抜けた瞬間の加速」に先回りして乗る段取りは『相場を追うのをやめて、罠を仕掛けて立ち去る』に書きました。

止まる場所と走る場所は、一枚の地図の裏表

止まる理由も、走る理由も、突き詰めれば同じでした。

前回の高値・安値に、人の注文と感情が層になって溜まっている。
だから止まり、だから抜けると一気に走る。

止まる場所と走る場所は、
人の注文がどこに溜まっているかという、ただ一枚の地図の裏と表でした。

この地図が読めると、損切りの置き場所も自然に決まります。

皆が「もう耐えられない」と降参して投げる価格帯は、たいてい同じ場所に固まる——私はそう捉えています。
そこへ自分の損切りも並べれば、価格は一度そこを突いて皆をまとめて——自分ごと——降参させ、
それから本来の方向へ戻っていく。

だから私は降参が固まる前回の安値・高値の、
さらにヒゲの外へ、その銘柄がふだん1本で動く幅の分だけ離して損切りを置きます。
(具体的な置き方は別記事『損切り貧乏だった私が、財布をしまった日』に譲ります)

長いあいだ、私は狩られていたのではありませんでした。
狩られる場所に、自分から並んでいただけだったんです。

線を「人の地図」として読む、要点
  • 前回の高値・安値は模様ではない。逃げ遅れた人の決済と新規の注文が層になっている
  • だから止まる。抜ければ、尽きた売り物と損切りの買い戻しが重なって一気に走る
  • 止まる場所と走る場所は、同じ一枚の地図の裏と表
  • 損切りは、降参が固まる前回安値・高値のヒゲの外へ離して置く

その線が、なぜそこにあるか答えられますか

あなたが次に水平線を引くとき、ひとつだけ問うてみてください。

その線は、なぜそこにあるのか。

「よく効く線だから」としか答えられないなら、
あなたはまだ模様に賭けています。

次に線を引いたら、『その線の手前で誰が逃げ遅れているか』を一行書いてみてください。
書けない線は、まだ模様です。

——でも。私の言葉のままでは、これもまだただの模様です。

「前回高値に、人の注文が層になって溜まっている」。
こんなもの、私に言われてなるほどで終わらせては意味がない。

次にその線へ価格が近づいた時、本当に重くなって跳ね返されるのか。
抜けた瞬間、本当に追い詰められた人たちが一斉に走り出すのか。
——明日、あなた自身のチャートでその一本に目を凝らしてください。

答えは、私の言葉の中ではなく。
あなたが引いたその線の向こう側にしか、ありません。

その一本の線の向こうに、何が見えたか。確かめた結果は、記事末のご案内から無料の一冊を受け取ると届くメルマガに、返信で送ってください。個別のお返事はしていません。でも、全部読んでいます。


次に読む

——この「線」を、降りる節目としてどう使うかの話です。

——この線への到達が、転換を狙う最初の関門になります。

——では、その線をどこに何本引くのか。私の運用の全部です。

——では、注文が溜まっていない場所では何が起きるのか。この地図の空白の話です。

——この地図に、守り手はいません。誰の意思でもないのに止まる理由の話です。

この「人の地図」を、私は入口にも損切りにも降り場にも使っています。線の使い方まで含めた手法の全体像を、チャート設定ごと一冊に描いてあります。

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【ご確認ください】
本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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この記事を書いた人

トレードの本質を語ります。聖杯も未来を言い当てる方法もありません。あるのは相場の流れを見極め、優位性が生まれるまで待ち、間違えたら撤退するという地味な積み重ねだけです。私を信じる必要はありません。すべてご自身のチャートで確かめてください。

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