向きは、あなたが決めるものではなかった

世間はこう言います。「相場で勝ちたいなら、上がるか下がるかを当てろ」と。

私ははっきり逆を言います。

向きを当てようとすることそのものが、負けの入り口でした。相場に戻ってからの2年、私はチャートを開くたびに「さあ今日は上か、下か」と自分に問うていました。今になって分かります。あの問いを口にした瞬間、私はもう負ける側に立っていたんです。

平日の朝、家族がまだ眠っている薄暗い部屋で私は15分足を一枚だけ開きます。少し上がっている。「来てる」。心臓が小さく跳ねて、買う。コーヒーを淹れて戻ってくる頃には、価格は私を置いてするすると下げ始めている。慌てて損切り。指が震える。そこでようやく、大きな足を開きます。——全体は、ずっとずっと下を向いていました。私はただ下げ続ける流れの途中のほんの小さな息継ぎを「上昇」と見間違えて、わざわざいちばん高いところで買っていただけでした。これを数えきれないほど繰り返しました。

私はずっと、相場と戦っているつもりでした。違いました。戦う相手を間違えていただけでした。

向きは私が決めるものではない。もう、出ている。当てるのではなく、従う。——この一行に辿り着くのに、2年かかりました。

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小さな足は、嘘をつくのが上手い

小さな足は情報量が多いぶん、いつも何かを「言って」きます。

小さな足は本数が多いぶん、小さな上げ下げもたくさん見えます。その大半は、大きな流れから見ればただの一服です。けれど画面に張り付いていると、その一服が世界のすべてに見えてくる。私は長いあいだ、その小さな上げ下げを重大なサインだと思い込んで飛び乗っていました。

大きな足と小さな足が逆を向いているとき、最後に勝つのは大きな足のほうです。

小さな足のいきおいは、大きな流れに飲み込まれて泡のように消える。だから最初に決めるのは「上か下か」ではありません。「そもそも、どっちに賭けていい場所なのか」。これは小さな足には永遠に答えられない問いです。

「方向が読めない」は、感覚ではなく線で決める

ひとつだけ注意があります。「大きな足の向きを受け取る」と言うと、ふわっとした感覚の話に聞こえます。でも私は目で確かめられる一本の線で決めています。

大きな足を開いて、価格を支える一本の線——その足の背骨になる中期の平均線。週足なら20週線(日足でいう100日線とほぼ同じ働きの線です)——を見る。その足の終値が2本続けて(週足で見ているなら2週続けて)20週線のはっきり上で確定したら「買っていい場所」。2本続けてはっきり下で確定したら「売っていい場所」。 そしてローソクが20週線をまたいで行ったり来たりし、終値が上にも下にも2本続けては残らないなら、それが「向きが読めない場所」です。

ヒゲが一瞬どちらへ出ても無視。見るのは確定した終値だけ。この通貨がそういう状態なら、私はその週最初からいないものとして扱います。本数で固定するから、誰が見ても同じ判定になる。感覚の入り込む余地をわざと潰しているんです。

大きな足から開く、私の順番

今の私はいつもこの順で開きます。

  1. 週足:買っていい場所か、売っていい場所か、向きだけを受け取る。決めるのではなく、受け取る。週足の終値が20週線をまたいで定まらないなら、その通貨はその週見ない。
  2. 日足:週足で受け取った向きに沿って価格が一度その足の中期の平均線——日足なら20日線——へ寄って息を整え、また離れ出す気配が育っていないかを見る。
  3. 4時間足:日中の主役。日足で見つけた押し戻しが、前の安値(売りなら高値)を割らずに止まったかをここで確かめる。
  4. 1時間足:入る瞬間だけ触る。待ち伏せの注文を仕掛けて、立ち去るための足。

大きい足は「方向」、小さい足は「タイミング」。方向も入り口も、私は2年間ぜんぶ小さな足に聞いていました。聞く相手が違っていただけです。

向きを大きな足で先に受け取ってしまえば、平日の私は「決める」必要がありません。週足の向きは毎日コロコロ変わるものではない。だから私は週末にまとめて全通貨の向きを受け取り、平日はその向きに沿ってタイミングだけを待つ。

決断の回数を減らすほど、ビビる回数も減りました。張り付く時間もごっそり減った。これは勝つための工夫であると同時に、家族との時間を相場に明け渡さないための工夫でもありました。

迷ったら、この一文に戻ります。方向を決めるのは大きな足、入る瞬間を決めるのは小さな足。

向きは、受け取るもの
  • 向きは自分で決めるものではなく、大きな足から受け取るもの
  • 小さな足の上げ下げの大半は、大きな流れから見ればただの一服
  • 判定は感覚ではなく線で。終値が2本続けて20週線の上で確定したら「買っていい場所」
  • 上にも下にも2本続けて残らないなら、その通貨はその週見ない
  • 方向を決めるのは大きな足、入る瞬間を決めるのは小さな足

今日からできる一手

押し付けるつもりはありません。

むしろ、私の言うことを鵜呑みにしないでください。ただ、ひとつだけ確かめてほしいことがあります。ご自身のチャートを開いて、直近で負けたトレードを5つ並べてください。そして「入った時、週足の終値は20週線のどちら側にあったか」だけを見る。

私の話が正しいかどうかは、私の言葉の中ではなくあなたの過去のチャートの中にしかありません。

そして、もし「向きを当てにいかない」というこの感覚が腑に落ちたなら——次の問いはこうなります。向きが決まった流れの中で、いったいどの一点で手を伸ばせばいいのか。それは別の記事(→『勝てる瞬間は、たぶん1つしかない』)で、ゆっくりお話しします。

5つ並べて、終値はどちら側にあったか。見えた結果は、無料の一冊を受け取ると届くメルマガに返信で送ってください。個別のお返事はしていません。でも、全部読んでいます。


次に読む

——「大きな足が最後に勝つ」の理屈。週足1本の中に、15分足が480本入っています。

——向きを受け取った次は、週足の「状態」で戦い方ごと切り替える話です。

——向きを受け取る道具のうち、いちばん誤解されている並びの話です。

——向きが「合っていた」のに遅れる場面の正体。土台の角度と、見る順番の話です。

向きを受け取ったあと、流れのどの一点で手を伸ばすのか。その答えを、私が使っているチャート設定ごと無料の一冊にまとめてあります。

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【ご確認ください】
本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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この記事を書いた人

トレードの本質を語ります。聖杯も未来を言い当てる方法もありません。あるのは相場の流れを見極め、優位性が生まれるまで待ち、間違えたら撤退するという地味な積み重ねだけです。私を信じる必要はありません。すべてご自身のチャートで確かめてください。

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