上に、誰も注文を置いていませんでした

何年も逆を取っては損切りしていた頃、私は一度も誰と戦っているかを数えたことがありませんでした。

チャートには形しか見えていません。

下げ止まりそうだ、そろそろ底だ、この形は反転しそうだ。

——全部、私と画面の一対一の話でした。

でも、あの下げを作っているのは形ではありません。
そこに乗っている、大勢の人です。

流れに逆らうというのは、その全員を相手にすること。
それに気づいてから、私が逆張りにだけ条件を幾つも重ねている——ほかのどの入り方より厳しくしている——その理由の方から腹に落ちました。

そして同時に、もう一つ分かったことがあります。

私が「転換」と呼んで売り向かった下げの多くは、
上に、誰も注文を置いていない場所で起きていました。

目次

逆らうというのは、そこにいる全員を相手にすることでした

大きな流れが一方向に伸びている時、その方向には人が乗っています。

上へ伸びているなら、買って持っている人がいる。
含み益を抱えて、まだ利益を伸ばそうとしている人がいる。
乗り遅れて、押しを待って買おうと構えている人がいる。

そこへ売りで入るというのは、その全員に「間違っている」と言うことです。

相手は一人ではありません。
資金量も保有の理由も、時間軸も、こちらの都合とは無関係に散らばっている。

私が「そろそろ天井だ」と思った時、
値動きの側はまだ「伸びる」と言い続けている。

多数決に負けている側から入るのが、逆張りです。

素手でやって勝てるはずがありませんでした。
何年もかけて分かったのは、結局そのことだけです。

勝てるのは、相手が自分から降りてくれる場所だけ

では、逆を取れる場所は本当に一つも無いのか。

一つだけ、あります。

相手が、自分から降りてくれる場所です。

前回の大きな高値・安値には、逃げ遅れた人と反対側で待ち構えている人が層になって重なっている——私はそう読んでいます。

大事なのは、その層が何をしてくれるかです。

価格がそこへ届いた時、私が押し返さなくてもその人たちが自分で売ってくれる

ここで初めて、多数決がひっくり返る余地が生まれます。
逆を取っていいのは、その一点だけでした。

(なぜその価格帯に注文が層になるのか、その仕組みは『線が効くのではない。そこに人の注文が溜まっているから、効く。』に書きました)

逆張りの関門が「ひどく厳しい」のではありません。
味方がいる場所が、そこしか無いという話でした。

私はかつて、その手前で何度も逆を取っていました。
届いてもいない場所で、たった一人で立っていたわけです。
相手の人数を、一度も数えないまま。

更新したばかりの高値の上には、誰もいません

ここまでが表の話です。裏返すと、もっと使える形になります。

価格が高値を更新した直後を思い浮かべてください。

その高値より上の値段では、まだ誰も買っていません
買っていないのだから、含み損を抱えて逃げたい人もいない。
「ここは固い壁だ」と見て売りを置く理由のある人も、まだいない。

つまり、そこには売り物がありません

ここが肝心なところです。

価格の向きが変わるには、売る人が要ります。

前回の大きな高値まで届くと、そこで逃げ遅れた人が決済し
待ち構えていた売り手が売ります。だから、そこから向きが変わる。
理由が、値動きではなくの側にある。

高値を更新した直後には、その人たちがいません。

売る人がいないのだから、下げを作る材料も無い。
その押しは、浅いところで終わります。

上を塞ぐものも無いままなので、価格はすぐにまた上を向きます。

私が「転換だ」と思って売っていたのは、たいてい後者でした。

そして毎回、すぐに戻される。

腕が悪いのだと思っていました。
違いました。そこに、売る人がいなかっただけです。

向きが変わるのは、価格が前回の大きな高値まで届いて
そこにいた人たちが実際に売った時だけでした。

騙しに見えるものの正体は、参加者の不在です。

形が悪かったのではありません。
その場所には、誰もいなかった。それだけでした。

「誰がいるか」で読む、要点
  • 流れに逆らうとは、そこに乗っている全員を相手にすること
  • 逆を取れるのは、相手が自分から降りてくれる場所=前回の大きな高値・安値だけ
  • 高値を更新した直後の上には、まだ誰も注文を置いていない
  • 深く落ちるには売る人が要る。売る人がいなければ、押しは浅く終わる

「形が悪い」をやめて、「上に誰もいない」と書く

この読み方に変えてから実務で一番変わったのは、見送りの書き方です。

見送った理由を「形が悪いから」と書いていた頃は、
次に何を待てばいいのかがまるで決まりませんでした。

形が悪い、は感想です。
悪いなりに、翌日には良く見えてしまう。同じ場面に、また手が伸びます。

いまはこう書きます。

「上に、誰も注文を置いていないから」。

こう書くと、待つものが同時に決まります。
価格が、前回の大きな高値まで届くこと。それだけです。

見送りの理由が、感想ではなく場所を名指ししているか。
違いはそこだけでした。名指しできた瞬間に、見送りは待機に変わります。

——ただ私はあなたの相場に、誰がいるのかを見ていません。

高値を更新した直後の押しを、十件集めてください。
それぞれ浅く終わりましたか。それとも、そこから向きが変わりましたか。
その値段に、売る人はいましたか。

一件では何も決まりません。
一件で分かるようなら、私はもっと早くこの読み方に辿り着いていました。

十件並べたときに残るのは、私の理屈ではありません。
あなたが数えた、「売る人がいたか」の答えです。

何件目で「そこに、売る人がいなかった」と書けたか。その数字だけ、下のご案内から無料の一冊を受け取ると届くメルマガに返信で送ってください。


次に読む

——なぜその価格帯に注文が層になるのか。この記事の土台です。

——その厳しい関門を、実際に何個くぐるかの話です。

——注文がある場所まで待てても、免除されない線が1本だけ残ります。

止まる場所と、走る場所と、誰もいない場所。この地図をどの足でどう引くのかを、チャート設定ごと一冊にまとめてあります。

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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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この記事を書いた人

トレードの本質を語ります。聖杯も未来を言い当てる方法もありません。あるのは相場の流れを見極め、優位性が生まれるまで待ち、間違えたら撤退するという地味な積み重ねだけです。私を信じる必要はありません。すべてご自身のチャートで確かめてください。

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