通貨ペアは、私が選びません

「得意な通貨ペアは何ですか」と聞かれると、私は少し困ります。先に種を明かしておくと、私には得意な通貨も、好きな通貨もありません。今週どの通貨を触るかは私が決めていないからです。決めているのは週足のほうです。

ここから書くのは、その銘柄選びの中身です。といっても、「どの通貨が狙い目か」の話ではありません。その真逆——選ぶという仕事を手放す話です。

目次

「得意な通貨」は、思い入れという名の偏り

かつての私はいつも同じ通貨ばかり見ていました。理由は、慣れているから。値動きの癖が分かる気がするから。

でもいま振り返るとあれは「得意」ではなく、ただの思い入れでした。思い入れのある通貨は、条件が揃っていなくても入る理由を探してしまう。動いていない週でも、何かを見つけようと画面を睨んでしまう。銘柄への愛着は分析を深くするのではなく、判断を曇らせる方向に働いていました。

もっとも、通貨のほうはこちらの愛着など知りません。片思いに勝ち目はありません。

基準はひとつ。週足の線が、素直に開いているか

いまの私の基準はひとつだけです。

週足を開いて、移動平均線(20本・60本・100本の3本)がきれいに一方向へ開いている通貨だけをその週の相手にする。線と線が離れて傾きが揃っている——流れが太く、迷いのない形です。

逆に線がもつれ合って横に寝ている通貨はどれだけ有名なペアでも、その週は存在しないものとして扱います。もつれた線は「参加者の意見が割れている」という意味で、そこで何かを当てようとするのは割れた多数決の結果を予想する賭けだからです。

つまり、私は通貨を選んでいません。週足がふるいにかけて、残ったものを受け取っているだけです。

週末に選び直す。残った銘柄に、情はない

このふるいがけを私は週に一度だけやります。監視リストの二十数銘柄の週足を順に見て、候補を数銘柄まで絞る。先週の主役が今週は消えることも普通にあります。

外した通貨に未練はありません。「先週あんなに良い思いをさせてくれたのに」とは考えない。線がもつれたなら、それはもう別の通貨です。

そしてこの入れ替えを可能にしているのが、手法が一つしかないことです。私はどの通貨でも同じ形しか狙わないので、通貨ごとの癖を覚える必要がない。だから乗り換えにコストがかからない。銘柄にこだわる必要があるのは、銘柄ごとに戦い方を変えている人だけです。

選ぶのをやめて、ふるいに任せる
  • 得意な通貨は、思い入れという名の偏り
  • 基準はひとつ。週足の3本の線が、素直に一方向へ開いているか
  • 線がもつれて横に寝ている通貨は、その週は存在しないものとして扱う
  • ふるいがけは週に一度だけ。外した通貨に未練は持たない
  • 乗り換えにコストがかからないのは、どの通貨でも同じ形しか狙わないから

選ばないから、迷わない

「その通貨のことを深く知らなくて、怖くないんですか」と思われるかもしれません。

私が知りたいのはその国の経済でも、通貨の物語でもありません。いま週足の線が開いているか、もつれているか。それだけです。物語を追いかけるのをやめてから監視は軽く、判断は速くなりました。

得意な通貨を育てるのではなく、通貨への興味を捨てる。妙な話ですが、それが私の銘柄選びです。

私が選んでいるのは通貨ではなく、形のほうでした。


次に読む

——この「ふるいがけ」を怠ると何が起きるか、の話です。

——外した通貨を追いかけなくていい理由。乗り場は巡ってきます。

——銘柄と同じく、時間も選ばない。避ける時間の話です。

どの通貨でも同じ、と言い切れるその一つの形が何なのか。週足のふるいがけと合わせて、無料の一冊で種明かしをしています。

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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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この記事を書いた人

トレードの本質を語ります。聖杯も未来を言い当てる方法もありません。あるのは相場の流れを見極め、優位性が生まれるまで待ち、間違えたら撤退するという地味な積み重ねだけです。私を信じる必要はありません。すべてご自身のチャートで確かめてください。

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