強そうに見える相場ほど、乗れない

世間では、強いトレンドは「乗るべき相場」だと言われます。私はまったく逆のことを身銭で学びました。強い相場ほど、乗れない。

いちばん悔しい負け方は損切りじゃありません。「どう見ても強かったのに、ひとつも取れなかった」ときです。

目の前で価格が一直線に駆け上がっていく。押しもしない、止まりもしない、ただ天井へ向かって突き進む。

「こんな強いトレンド、滅多にない。乗るしかない」。

そう思って飛び乗った瞬間に、ぴたりと止まって私だけを高値に残して崩れ落ちる。強い相場を強いがゆえに、いちばん高いところで掴まされる。

私はこれを性懲りもなく繰り返していました。強さに毎回だまされていたんです。長い遠回りの末に、私はひとつの事実を受け入れました。強すぎる相場には乗る場所が物理的に無い。取れなかったのではなく、最初から取れない相場だった。今日は強さに惚れて損をしてきた私の、見送りの話です。

目次

押し戻しが、乗る場所をつくっている

前提をひとつだけ。

私が価格に乗れるのは価格が一度「押し戻し」をくれた時だけです。

動き出した価格が一度戻して、谷を作る。その谷があるからこそ私はそこに足をかけられる(=押し目という乗る場所ができる)し、谷のすぐ外に損切りを置ける(=傷の限界が決まる)。押し戻しは乗る足場と、損切りの壁を同時に作ってくれているんです。

逆に言えば押し戻しが無ければ足場も無いし、壁も無い。

ここで、一直線に走る強い相場を思い出してください。あれは一度も押し戻していません。足場が無い。壁も無い。だから飛び乗るしかなくなり、飛び乗れば足場の無い崖に素手でしがみつくことになる。落ちて、当然でした。

強さと乗りやすさはまったくの別物——いや、しばしば正反対だったんです。

取れる初動と、取れない初動の見分け

ここから、見分け方です。同じ「走り出す初動」でも、取れるものと取れないものがあります。分かれ目はただ一点。走り出す前に押し戻しを作ったか、作っていないか。

ここでも感覚で「浅い/無い」と言うと、迷います。だから、目で確かめられる線を一本だけ引きます。

走り出す前に、反対へ動いた足(逆行の足)が一本でもあるか。あれば、そこに谷(売りなら天井)ができています。谷があれば押し戻しは「有る」=乗れる。浅くても戻りがちゃんと一度でも形になっているなら、そこに足場ができます。

逆に逆行の足が一本も出ずローソクが同じ方向にひたすら並ぶだけなら、押し戻しは「無い」=見送りです。動き出した勢いのまま押しを一度も作らず、戻り高値も作らず、ただ突き抜けていく。これはどれだけ強くても乗れない。乗る場所がこの世に存在しないからです。

——大事なのはここです。これは「取り逃した」ではありません。「取れない相場だった」と分類して、終わり。腕の問題ではなく、構造の問題です。

ひとつだけ、勘違いしないでください。「強くても見送る」のであって、「強いから見送る」のではありません。浅い一服しかしない強い相場は、その浅い谷さえ有ればちゃんと乗れます。乗れないのは押し戻しが「全く無い」相場だけ。浅いのと無いのは、別の話です。

乗れる相場と、乗れない相場
  • 私が乗れるのは、価格が一度「押し戻し」をくれた時だけ
  • 押し戻しは、足をかける場所と損切りの壁を同時に作ってくれる
  • 一直線に走る相場は足場も壁も無い。強さと乗りやすさはしばしば正反対
  • 逆行の足が一度でも出て、そこに谷ができているなら「有る」=乗れる
  • 浅いのと無いのは別の話。浅い一服しかしない強い相場は、その谷で乗れる

追いかけた回数だけ、私は削られてきた

強い相場を追いかけて飛び乗った回数と、私が削られた回数はたぶんぴったり同じです。

「行けると思った」——その一言で私は足場の無い崖に何度も飛び込みました。行けると思った、ではなく行ける形だったか。問うべきはそこでした。

見送るのは悔しい。一直線に走る価格を指をくわえて見ているのは正直つらい。でも、見送りに損は一切発生しません。そして、あの強い相場の大半はそもそも私が取れる形ではなかった。取れないものを逃しても、私は何も失っていなかったんです。

——だから、これだけは言わせてください。次にあなたが「強いのに取れなかった」と歯噛みしたら、そのチャートをもう一度見てほしい。その相場は走り出す前に一度でも押し戻して、谷を作っていましたか。

作っていなかったのなら、あなたは下手だったのではありません。最初から乗る場所の無い相場に素手で挑んでいただけです。取れない相場を笑って見送れるようになった日から、私の口座は静かに減らなくなりました。


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——押し戻しが「ある」波なら、狙い方はこうなります。

——押し戻しが「ある」時、深さで切り捨てていませんか。合否の物差しの話です。

——「入らない」の質を分ける線。判定と先送りの違いです。

『進みすぎは、一つの場所には出ません』〔🔗カード〕

——「強すぎる」を三つの場所で確かめる方法です。

押し戻しが「有る」波を私がどの時間軸で待ち、どの谷に足をかけているか。その一部始終を、無料の一冊に描きました。

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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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この記事を書いた人

トレードの本質を語ります。聖杯も未来を言い当てる方法もありません。あるのは相場の流れを見極め、優位性が生まれるまで待ち、間違えたら撤退するという地味な積み重ねだけです。私を信じる必要はありません。すべてご自身のチャートで確かめてください。

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