水平線の足は、狙う波が決めます

私のチャートに、水平線は数本しかありません。

引くのは、狙っている波の足から上の、前回高値・安値だけ。ふだんの私は日足の波を狙うので、週足に1〜2本、日足に2〜3本。4時間足の波を狙う日は、そこへ4時間足の線を1〜2本足します。1時間足から下には、引きません。

かつての私は逆でした。レジサポに、戻り高値に、押し安値。週足にも、日足にも、4時間足にも。「引ける」と思った線はキリがなく引けてしまい、どの線を根拠にすればいいのか分からなくなっていた。引き方のルールを探して、消し方のルールを探して、ルールが増えるほど迷いも増えていく。

今日はどこに引くかの話と、それよりずっと大事な「線に何をさせるか」の話です。

目次

線が増えるほど、判断は減っていく

迷子の正体から話します。線が多いチャートで迷うのは、あなたの読みが浅いからではありません。構造の問題です。

線は、引いた瞬間から「警戒対象」になります。1本引けば、警戒する場所が1つ増える。10本引けば、10箇所で何かが起こりそうに見える。そして相場はたいてい、どれかの線の近くにいます。

つまり線を増やすほど、「今は何もしなくていい時間」が消えていくんです。どこでも反発しそうで、どこでも抜けそうで、いつでも決断を迫られている気分になる。判断の材料を増やしたつもりで、判断そのものができなくなっていく。

私はこれを、腕の問題だと思って何年も苦しみました。違いました。持ち物の問題でした。

私が引くのは、前回高値・安値だけ

残した線の条件は、突き詰めればひとつです。私が迷わず引ける線

前回の高値と安値が、それです。ここで大事なのは、迷いの意味を裏返して読むことです。私が引く場所に迷う線は、他の参加者も同じ場所には引けていない線——私はそう見ています。全員が同じ場所に置けない線に、注文は集まりにくい。それ以前に毎回同じ場所に引けない線は、私自身が再現できません。なぜ前回の高値・安値で価格が止まりやすいのかは『線が効くのではない。そこに人の注文が溜まっているから、効く。』に全部書きました。

そして時間足は、狙っている波の足に合わせます。日足の波を狙うふだんは、週足と日足だけ。4時間足の波を狙う日は、そこへ4時間足を足す。下限は4時間足で、1時間足から下には引きません。理由は単純で、大きい足の高値・安値ほどそこに積み上がった時間が桁違いだからです。週足の前回高値は何ヶ月分の攻防の跡ですが、1時間足の高値は数時間の跡でしかない。同じ「前回高値」という名前でも、背負っている時間がまるで違う。人数も違うはずです。だから線は、自分が取ろうとしている波と同じ目盛りのものだけを使う。道具の解像度を、波に揃えるためです。

引き方も決めてあります。

  • 場所は、チャートを縮小して一目で分かる高値・安値だけ。「ここも効きそうかな」と迷った線は、引きません。
  • 線はローソク足の実体に引いて、ヒゲの先までを「ゾーン」として見ます。1本の線でピタリ止まると考えず、その帯のどこかで何かが起こりやすいと読む。
  • 合わせて数本。それ以上増えたら、弱い線から消します。

これだけです。トレンドライン、チャネル、フィボナッチは私のチャートにはありません。その経緯は『チャートから、線を全部消した日』に書きました。

私の入口に、水平線は登場しません

ここからが、この記事でいちばん言いたいことです。

多くの教科書は、押し目買いの条件として「サポートラインに支えられていること」を挙げます。私も長いあいだ、線に入口を教えてもらおうとしていました。だから線が増えたんです。入口の数だけ、線が要ると思っていたから。

今の私の入口に、水平線は登場しません。入口はひとつの形だけ。押しがダブルボトムを作って、そのネックライン——2つの谷の間にできた戻り高値——を抜けた瞬間です。注文は逆指値で先に置いておく。詳しくは『相場を追うのをやめて、罠を仕掛けて立ち去る』に書いたとおりです。

「線の支えがない押し目は、危ないのでは」と思った方へ。私も気になったので、数えました。

過去2.8年・27銘柄のチャートで、押し目からの走り出しを506回機械的に拾って集計しました。押しの底が週足・日足の前回高値・安値と重なっていなかった場面でも、半分近くはそのまま押し目のあとの本格的な上昇——第3波——に育っていました。重なっていた場面は、それより1割弱(およそ9ポイント)だけ多く育っていた。差はその程度です。

押しの底と、前回高値・安値場面の数第3波に育った数割合
重なっていた22712755.9%
重なっていなかった27913147.0%

(2.8年・27銘柄・506場面。「重なっていた」は押しの底が線とほぼ同じ場所で止まった場面——線からの距離が1日の平均的な値幅の15%以内——だけを数えています)

線の上で押しが止まれば理想的ですが、線がなくても価格は普通に走る。これは私の過去検証の集計であって、未来やあなたの成績を約束する数字ではありません。でも「ラインの支えがない場面を全部見送っていたら、打席の半分近くを捨てることになる」という事実は、私の線の使い方を決定的に変えました。

線は、入口の条件ではありませんでした。

重なっていた時だけ、少し強く握ります

では、押しの底が前回高値・安値と重なっていた時はどうするか。入るかどうかの判断は、変えません。出口の判定も、変えません。降りるのは、狙った波の足で高値・安値の流れが崩れた時——それだけです。

押しを支えるものには2種類あります。その足の平均線(週足なら20週線、日足なら20日線)という「動く支え」と、前回高値・安値という「動かない支え」。この2つが同じ場所で重なった底は、片方だけの底より固い。だから重なっていたら、同じ形でも少しだけ強く握る。強く握るといっても、出口は遠くしません。決めた出口までの途中で、手を出さないだけです。途中の揺れで降りたくなった時に「底はまだ崩れていない」と自分を留める材料に、その重なりを使います。

逆に言えば、重なっていないことは見送る理由になりません。入口の条件は満たしているのに「ラインがないから」と降りるのは、さっきの数字で言えば半分近く走る打席を捨てる行為です。

線は合否を決める試験官ではなく、確信に上乗せする加点材料。私はそう位置づけています。

線の寿命は、当たった後に決まる

もうひとつ、迷子を生む問いがあります。「この線、突破された後も警戒すべきですか」。

私の判定はひとつです。線に到達した後の、高値・安値の流れを見る

価格が線に当たってそれでもダウ理論の流れを崩さずに——買いなら安値を切り上げたまま——押し目を作ったなら、その線はもう壁ではありません。突破されていく前提で読みます。そこで利益を確定する理由にも、逆張りを始める理由にもしない。

逆に線に当たった後で流れが崩れたなら——買いの目線なら、直近の押し安値を実体で割ったなら——その線はまだ壁です。次もそこで止められる前提で警戒するし、利益確定の目安としても機能します。

線そのものに、強い・弱いは書いてありません。教えてくれるのは、そこに当たった後の値動きです。この読み方ができるようになってから、「効くと思った線が抜かれた」と裏切られることが減りました。効かない線があったわけではなく、入口も出口も方向も一本の線に全部答えさせようとしていた。聞き方の問題でした。

迷子の出口は、線の「役割」を決めること

まとめます。私の水平線の使い方は3つだけです。

  1. 流れに逆らう転換を狙う時の、条件。私が線を「合否の条件」にする唯一の場面です。週足の前回高値・安値に届いていない転換は、狙いません。詳しくは『流れの変わり目だけは、逆を取る。ただし条件は、ひどく厳しい』へ。
  2. 順張りの押し目での、加点材料。重なっていたら強く握る。重なっていなくても見送らない。
  3. 利益確定と警戒の、目安。ただし到達後の流れで、壁かどうかを判定し直す。

入口を教えてもらう道具としては、使いません。入口は、ネックラインと逆指値の仕事です。

水平線で迷子になっている方は線の引き方を疑う前に、線にさせている仕事を数えてみてください。入口も出口も方向も全部を1本の線に聞いていたら、何本あっても足りません。

数本の線で足りたのではありません。
役割の決まった線だけが、数本残ったのです。


次に読む

——今日「誰が見ても同じ場所」と書いた線が、なぜ効くのかの根っこの話です。

——数本だけ残すに至った、引き算の日の話です。

——引いたあとの話です。同じ線が条件にも、ただの加点にもなります。

数本の線とひとつの入口で完結させる手順を、順番どおりに無料の一冊へ置いてあります。

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【ご確認ください】
本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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この記事を書いた人

トレードの本質を語ります。聖杯も未来を言い当てる方法もありません。あるのは相場の流れを見極め、優位性が生まれるまで待ち、間違えたら撤退するという地味な積み重ねだけです。私を信じる必要はありません。すべてご自身のチャートで確かめてください。

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