「デモでは勝てるのに、本番になると勝てない。自分にはセンスがないのかもしれない」。
もしそう感じているなら、先に結論を渡しておきます。それはセンスの問題ではありません。デモ口座と本番口座の間には崖があります。技術がそのまま持ち越せない、はっきりした断絶です。私もそこから落ちた側の人間で、勉強して理解して練習では形が見えるのに本物のお金を入れた瞬間に別人のように下手になりました。
デモは、正直に言えば簡単でした。失敗してもお金が減らないし、思った場所で迷わず入れる。本番は違いました。時間の進み方の遅さと、お金がかかっているというプレッシャー。同じことをしているはずなのに、思った通りにできませんでした。
あの崖の正体と、渡るのに使った装備を書きます。

崖の正体は、お金の意味が変わること
デモ口座の数字は、点数です。減っても、誰の生活も変わらない。
本番の数字は点数ではありません。それは教育費であり、家族との旅行であり、あなたが会社で耐えた時間の対価です。同じ「1万円の含み損」でも、デモと本番では脳に届く意味がまるで違う。
そして人間は、意味の重さに比例して下手になります。本番のあなたは、デモのあなたより臆病でせっかちで往生際が悪い。損切りは遅れ、利確は早まり、入り口では固まる。デモで磨いた技術は消えていません。ただ、恐怖の下では取り出せないだけです。
だから「デモで勝てる」は、こう読み替えるのが正確です。技術はある。恐怖の下でそれを使う仕組みが、まだない。

崖を渡る装備は、2つある
私がこの崖を渡れたのは、度胸がついたからではありません。装備を2つ、身につけたからです。
一つ目は、恐怖の総量を設計で削ること。私は1回のトレードで危険にさらす金額を、口座の2%と決めて固定しています。どんなに自信があっても増やさない。2%なら、負けても翌週の生活は何も変わらない。「変わらない」と事前に分かっている恐怖は、ずいぶん小さくなります。
二つ目は、恐怖が出る場面に自分を置かないこと。私は動いている価格を見ながら入る判断をしません。まだ静かなうちに、「ここを抜けたら入る」という注文を先に置いて離れます。判断はすべて、心拍数が普通のうちに終わらせておく。恐怖がやってくる頃には、決めることが残っていない。
度胸は要りませんでした。要ったのは、臆病な自分を前提にした設計です。

それでも、最後の数メートルは回数
ただ都合の悪い側も書いておくと、設計だけで崖が消えるわけではありません。
最後に効いたのは、回数です。小さな本番を、同じ形で何度も繰り返す。10回、20回と重ねるうちに、「2%の負けは本当に生活を変えない」が知識から体感に変わっていく。デモを100回やるより、小さな本番を10回やるほうが崖は縮みました。
- 崖の正体は技術ではない。同じ1万円が、デモでは点数・本番では生活の対価に変わること
- 危険にさらす金額を口座の2%に固定する。自信があっても増やさない
- 動いている価格を見ながら判断しない。静かなうちに注文を置いて離れる
- 最後は回数。デモを100回より、小さな本番を10回
だからデモで勝てているあなたに必要なのは、もっと上手くなることではありません。恐怖ごと設計に組み込んで、小さく本番に立つこと。
デモは、技術を測る場所。
本番は、自分と会う場所。
会いに行った回数だけ、崖は浅くなります。
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——装備の二つ目。「判断を事前に終わらせる」の具体的な手順です。

——装備の一つ目。毎回同じ2%に固定する理由です。

——最後の数メートルを埋める「回数」の話です。

——崖の手前でやっておく練習を、順番に並べました。
崖を渡る装備の三つ目があるとすれば、迷いようのないほど具体的な型です。私が本番で使っている型の全体を、設定の数字まで落として一冊に収めました。

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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

